始めに
ラーメンの食べ方ってあるの?
基本的にはないと思います。
作り手に失礼にならないように食べるマナーはあると思いますが、好きな順番で好きなように食べれば良いのです。
ここで述べるのは、我流の食べ方です。
※引用した文章は、読みやすいように一部加除訂正している場合もあるのでご了承ください。
「A氏(ラーメニスト)流作法」編
■差し出されたどんぶり鉢の全容をとっくりと鑑賞する。全体の盛り付けは良いか、具は何か、数量はどうか…などをしっかり見定めます。
■コショウを数箇所にサッサッと軽く振りかけます。この際、ふたが緩んでいないか、穴が詰まっていないかを要確認。ドバッっと出てしまうことも稀にあります。
■箸を取り、口にくわえて、パッキンと割ります。
■箸の先で具をチョンチョンと突っついて、具をスープに馴染ませます。
■麺が取り出しやすいように、具を再配置します。
■適量の麺を摘まんで口に運びます。この際、スープは高温なので火傷しないようにしましょう。麺を持ち上げて、フゥーフゥーと冷ましながら食べます。
■スープの味は、麺から関節的に味わいます。
■麺の合い間に具を楽しみながら食べ続け、頃合を見計らって直接スープをすすります。
■更に麺を食べ、具を食べ続け、その間にスープをタイミングよくすすります。
■麺を食べ終わったら、お腹が満たされるまで残りのスープを飲みます。
■最後に、丼の底に残った麺をすくい上げて食べたら終わりです。
「B氏(ラーメニスト)流作法」編
■初めて訪れたお店では、基本メニューを頼みましょう。
■出てきたラーメンは、かき混ぜる前にスープを飲んで味わいましょう。
■次に麺をかき混ぜて、再度スープを飲みましょう。(湯切りがあまい場合、タレが沈んでいる場合があります)
■初回はできるだけ調味料を使わず、お店で出されたものを味わいましょう。
■スープは気分に任せて飲む。美味しかったら、無意識に最後まで飲んでしまうものです。通常は、半分ぐらい飲めばいいのではないのでしょうか。
■具は単独で食べてみて、味付けを確認。
■スープの絡みの良い麺の場合は、ズルズルと食べましょう。絡みの悪い麺の場合は、レンゲを片手に麺とスープを交互に…、というのが良いようです。
「C氏(ラーメニスト)流作法」編
■店内に入り、座る位置を即座に決める。
■卓上または壁に貼られたメニューを見て、もたつかずにオーダーをする。初めての店では、一番安い(右端が多い)ラーメンを注文する。
■大盛りは避ける。(並盛りと比べ、味の濃さや麺の柔らかさが違うこともある)
■待っている間は、店の中、厨房の中をじっくり観察する。但し、キョロキョロせず、さり気なく見る。
■漫画や雑誌を読みながら待たない。自分の食べるラーメンができる工程を見ると楽しくなる。
■待っている間に水をガブガブ飲まない。胃液が薄まる。
■ラーメンが出てきたら、割り箸を割りながらじっくりラーメンを観察する。スープの色、香り、具の種類、麺の形状をチェック。
■スープを一口すすり、その味を舌の上で丹念にチェックする。コショウや調味料は最初には入れない。スープを一口味わった後に入れる。
■次に麺を持ち上げる。途中で噛み切らず、一口で食べられるくらいの麺を箸でつかみ、口に運びズルズルと音を立ててすすります。ここで味や茹で加減、コシ、スープとの絡み、相性をチェックする。
■それから、チャーシューを始めとする具を食べる。具は、麺とスープの合い間に時々食べるようにする。麺とスープの箸休めとして、味と歯ざわりを十分に楽しみながら味わう。
■後は、ひたすら食べるのみ。スープ・麺・具が三位一体ではじめてラーメンなので、バランスよく食べるようにする。
■食べるのに時間をかけ過ぎないようにする。食べ終わるまでの時間も計算に入れて作られているので、ゆっくり食べるとせっかくのラーメンの味が落ちることになる。
■最後に残ったスープを飲む。美味しかったら、丹精込めて作ってくれたスープなので全部飲み干す。但し、血圧の高い人は要注意。また、丼鉢の底には澱(おり)や具の残骸、コショウなどが沈んでいることがあるので、1〜2mm残すことが必要な場合もある。
■食べ終わったら、「ふ〜」と一息ついて店を出る。長居は無用。
■最後に、食券制のお店でない場合は勘定を払って店を出る。「お愛想」とは、本来店側が客に対して使う言葉で、客が使うと大変失礼になる。正しくは、「お勘定」、または、「おいくらですか」と言う。
■店を出る時は、戸をサッと閉めて出る。出た後、完全に閉めたかを確認する。満足した時は「美味しかったです」の声を忘れずに。
「D氏(タレント)流作法」編
■「あなたを待っていました」と出会いに多謝…ラーメンを受け取る瞬間、口の端からこぼれ出してしまう笑み、はやる気持ちをグッとこらえ、出会えたことに感謝の気持ちを込めて手を差し出そう。
■箸は野性味たっぷりに口で割るべし…一旦緩んでしまった口元を締め直し、箸を袋から出して「シャッ、バキッ!」とテンポよく。店主への己のラーメンに対する意気込みをアピールしよう。
■ファーストスープは、ファーストキッスの口元で…まずはスープから。やや遠めで、かく恍惚の表情で芳しい香りに酔いしれつつ、チューッ、ゴックン。ただし、レモン味ではないことだけは確実。
■一口でもこの量!?と隣のギャルも釘付けの量の麺を…ラーメンとの軽い抱擁後、ここからは火急的速やかに。麺はガッツリ、キャッチ。火傷を恐れていては、ラーメンの個性に出会うことはない。
■ガァッッバァ〜と、3ズルズルッ…「これでもか」位の麺を、ズズズーッと派手にいくのが宮地流の定義。“眉間にしわ寄せ”は必須事項だ。ダイナミック3口以内で収めよう。
■チャーシューは愛でるように、口の中へリリース…今まで突っ走ってきたが、ここで一息。トッピングタイム。スープを染みこませるため、あらかじめ麺の下に保管しておけば、さらにジュ〜スィ〜。
■スープは完飲。「ラーメンの恩返し」を恐れるな…「ラーメンの汁を飲みきると、次の日は目が腫れてしまう」というM氏。これを「ラーメンの恩返し」と言う。しかし、コレを恐れず果敢に挑むのが美学。
■「ごっそーさん、またくるよ〜」と渋〜く…決して「ごちそうさまでした」と手を合わせてはいけない。給食ではあるまいし。「あまりの旨さにホトホト参りました」と背中で語れるようになろう。
「E氏(アジア麺研究家)流作法」編
■さり気なく店に入り、瞬時に店内を観察。素早く席を決める。
■間合い良く、キチッと注文をする。(作り手の仕事中は注文しない。聞かれてもたもたしない。店特有の表示やシステムについては、核心を突いた質問をする)。
■作り手の麺さばきや、タレ、スープの調合のリズムを観察する。
■トッピングは、麺を食べ終わる頃ちょうど良くなるように加減する。
■7,8分以内に食べ終わる(時間が経てば麺は伸び、スープの温度が下がって生臭さが鼻につくようになる)。
■最後にスープを全部飲み干す。
■食べ終わったら箸を置き、一息ついて席を立つ(水のおかわり、余計なおしゃべりはしない)。